「第2回おかやま新聞コンクール」にて、本校生徒が優秀賞を受賞

attachment00 この度、山陽新聞社主催の「第2回おかやま新聞コンクール」の新聞づくりの部におきまして、本校の2年生2グループ(計8名)が入賞いたしました。

そのうちの1グループは優秀賞(岡山市教育長賞)を受賞し、平成25年2月24日(日)に山陽新聞社本社にて行われました表彰式に参加して参りました。

 今回のコンクールでは、第2回ということで、先回の2.5倍の応募があったそうです。

 新聞づくりの部(高校生部門)では740点の応募があった中から、見事本校2グループが入賞しました。

 優秀賞を受賞した4名(2年生:井手冴香・井上実克子・大野あゆみ・谷川明穂)は、山陽新聞社本社で行われた表彰式に参加し、岡山県知事、岡山市長、山陽新聞社長などに囲まれながら、緊張した面持ちで賞状や楯を受け取っておりました。

 優秀賞の作品は、平成25年2月23日(土)付の山陽新聞の別刷りに掲載されております。また、表彰式の様子は、山陽新聞社HP(下記のリンクより)に動画とともに報じられております。

http://www.sanyo.oni.co.jp/news_s/news/d/2013022423025351

【指導教員よりの講評】

【指導教員よりの講評】

 受賞した作品は、現代文の授業の一環で作成されたものです。
 その授業は『その街のこども』という映像作品を鑑賞することから始まりました。

 『その街のこども』は、阪神淡路大震災をテーマとし、震災当時、その街で生活を送っていた子どもの15年後の姿を描いた作品です。この作品から、震災トラウマは15年経っても癒えることがないことや、被災者の年代や生活状況に応じて、そのトラウマの内容も多岐にわたることなどを学習しました。そこで、そういった人々の存在を「忘れないこと」を理念に、「知ろう震災後の人々の生活を」というテーマで、東日本大震災を経験した人々が、「今」、どのような生活を送っているのかを調べ、新聞の形でまとめることにしました。

 生徒たちは主体的に情報を収集し、それぞれが設定した小テーマに合わせて、情報の取捨選択を行っておりました。調べていく中で震災の悲惨さを改めて実感し、「先生、もし津波が来たらどうしよう。なんで先生はそんなに冷静でいられるん?」と言ったのは、受賞者の一人でした。海辺の街であるがゆえに、なおのことその恐怖を強く受け止めたのでしょう。このような感受性を大切にして、育っていって欲しいと願うばかりです。他の生徒たちも、被災地の様々な現状に思いを巡らせながら、震災後の人々の生活に潜む多様な問題点を掘り起こしていきました。

 さて、今回、賞をいただいた作品についてですが、就職、住宅、学校設備、学生の生活など、様々な問題を扱った中で、最も優れていた点は、「将来起こるであろう問題を見据えたこと」「小さな問題を掘り起こしたこと」だと思われます。
 生徒たちが調査したデータによれば、2011年の東北の就職率は63.5%であったのに対し、2012年では54.9%まで落ち込んだようです。一方、全国の就職率に目を向けてみると、2011年では57.1%であったのに対し、2012年では65.3%と大きく数値を伸ばしています。このように、就職率において東北と全国が逆転した要因は多々あると思われますが、生徒たちはこれを「東北で被災した人々が他の都市に移り住み、そこで就職活動を行ったから」だと考えました。そしてさらに、「今後、都市で就職した人は、方言など言語の違いでコミュニケーションの取り方に悩んだり、家族など身の回りの人々を残して都市に移り住むことで罪悪感が生まれたりするのではないか」と、これから起こるであろう問題について考えました。現象の要因を分析し、将来誘発されるであろう問題を予測する。分かっていても、なかなかできることではありません。本当によく考えました。

 また、生徒たちが捉えた問題は、原発問題などに比べて非常に小さい問題だと思われます。おそらく、こんな小さな問題について考えている人間は、この日本にそれほど多くいないのではないでしょうか。けれども、被災者の方々にとっては大きな問題です。見過ごしてよいものではありません。きっと生徒たちは、被災者の方々の側に寄り添おうとしたからこそ、このような、小さいけれど大きな問題を掘り起こすことができたのでしょう。誰かの「側に寄り添う」ことの重要さを、改めて感じさせられます。

 受賞の報を耳にするやいなや、生徒たちは「あんなので賞をもらっていいんですか」と口にしました。もちろん、稚拙な点はたくさんあります。けれど、そのような反省を心に留めながら、今回考え、身につけたことを活かして、今後の人生を歩んでいって欲しいと願うばかりです。

(2年生現代文担当:難波健悟